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2013年10月3日木曜日

モンクレールSからモンクレールMへ 引き継がれるフリル

今季からモンクレールの新ライン、モンクレールMが始まっています。ギリシャ出身のデザイナー、メアリー・カトランズ(MARY KATRANTZOU)が手がけるラグジュアリーコレクションですが、特徴はやはりフリル。
モダンブルーでも取り扱いがあるのですが、それがこれです。
POWというモデルです。写真はブラックですが、ネイビーもラインアップしています。


ブラック
ネイビー

見ての通り、かなり大胆にフリルが配されています。まるでスカートのようです。そしてカトランズのデザインの特徴は、とにかくウェスト位置が高い。つまりクラシックな、それも近代以前の宮廷衣装を思わせる雰囲気があります。キルティングもかわっていて、このパターンは何だろうと思ったら、ヘリンボーン柄ですね。ヘリンボーンもここまで大柄になるとSFっぽい雰囲気が出てきます。




そう考えていたら、映画「スターウォーズ」なんかそうですが、SFの作品世界で描かれる王女様の衣装は、デザインイメージを必ずクラシックな宮廷衣装から引っ張ってくることに思い当たりまして、ああ、カトランズという人はスターウォーズみたいな感覚でモードを見ているんじゃないかな、などと思いました。本当に衣服が豊かだった古典時代に憧れ、この貧弱な現実を豪奢にし、さらにそれを未来化したいんじゃないかな、と思えるのです。

「古いスタイルを未来へ投げかける」というと、たいていのデザイナーがやっていることのように聞こえます。でもカトランズは、数十年前とかではなくて数百年前のスタイルにスポットを当てようとします。しかももう少しそれをサブカル化した感覚でやっている感じがします。中世文化への造詣をもとにしてそれをサブカル化しているというより、アニメやスターウォーズの感覚で育ったサブカルな女の子が、中世っぽいことに憧れて色とカタチにしている印象です。まあ、僕の勝手な想像なのでわかりませんけど、同じ中世志向でも、悪魔的要素を持つジョンガリアーノやヴィヴィアン・ウェストウッドとはちょっと違うんですよね。
いずれにせよカトランズという人は、趣味が入り乱れるようにデザインとして花開いています。今「本当に面白いビジュアル」というものを作り出せるデザイナーの一人だと思います。



ところで、カトランズが打ち出したモンクレールMもそうですが、フリルの登場でウィメンズのモンクレール世界はがらっと変化したように思います。
つまり、sacaiの阿部千登勢さんが手がけたモンクレールSを今さらながらに僕は思い出してしまうのです。モンクレールでフリルといえば、阿部さんのSです。

フリルはフェミニンな雰囲気を演出するためにウィメンズウェアの世界では欠かせないデザインパターンですけど、モンクレールSが新鮮だったのは、それをダウンウェアでやってしまったということ、しかも細部のアクセントとかではなくて、大々的にダウンをフリル化したことです。そしてあの独特なふわっとした曲線を、単なるフェミニンモチーフではなくて、線の面白さ、身体の上をうねる波としてグラフィックデザインにしてしまったことです。

モンクレールSの成功が強烈だったため、ラインが終了した後も、モンクレールのデザインチームは阿部千登勢さんのコンセプトを引き継ぎ今も「Sの伝道」ともいえるアイテムを発表しています。

例えばこのANSERINEというモデルがそうです。


袖口と裾後ろがフリルになっていて、通常のダウンウェアとは違った印象を与えてくれます。裾の前側はフリルがなくて、後ろ側だけについている。後姿はどことなくバレリーナを思わせます。つまりこれは鳥の羽根としてのフリルであり、さらにミニスカートを暗示しているのです。だからちょっと、可憐で、ドキッとさせ、さらに豪奢な印象を与えてくれます。


ほかにもSのコンセプトを引き継いだアイテム、SANGLANTEです。





こんなわけで、フリルをキーワードにモンクレールはウィメンズ世界の新しい流れをスケッチしてみました。

モンクレール・ウィメンズのラインアップはこちらでチェック!




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