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2013年12月10日火曜日

アクタス創世記 ビジネスのトランス状態

先晩は就寝前にアクタスの本を読んでいたのですが、1960年代にこの輸入家具会社がやったことがヤバすぎて、ちょっと脳が揺すぶられました。

日本にモダンインテリアをもたらした会社なのですが、それまで家具業界といえば婚礼家具の世界だった。アクタスの前身、湯川家具というのですが、湯川家具も婚礼家具が売り上げの主軸だった。

でもある日、1人の若い社員が京都の国立近代美術館でやっていた「現代ヨーロッパのLiving Art展」を見て衝撃を受ける。そこでは「2001年宇宙の旅」で使われていたソファや、北欧のデザイン家具が展示してあった。

その若い社員は興奮状態になり、帰るなり社長に言う。
「とにかく京都に行って見てきてください!」と。
「そうなの」、というわけで社長も足をのばす。

行ってそれ以上に衝撃を受けたのは社長だった。脳に電撃が走る。これはヤバい。婚礼家具の時代は終わったと。

1ドル360円固定為替の時代に、すぐさま社長は北欧買い付け旅行に。英会話、そんなものはできない、貿易のノウハウ、そんなものは知らない。とにかく行った。カメラも持たずに。そして一脚200万円とかいう家具をばんばん買い付けてくる。

カメラも持っていってないので、社員たちへの出張報告会ではただ社長が熱意と興奮、記憶を喋るばかり。社員は何が輸入されてくるのかわからない。とにかく、すごいものが来るらしい、というだけである。そこに社の運命を信じてみるだけである。

蓋が開かれる。そして証明される。今まで日本になかった家具、値段も破格に高い家具。それでもまったく違う文化、層の厚い美意識に貫かれた一級の文化。そしてそれを受信する、一定数の人がやはりいるのだ。

まずファミリアの社長が顧客になる。そして東京青山へ、ビル六階すべて借り切っての進出。ここから一気にモダンインテリアの文化が日本で始まる。

婚礼家具は終わった。それでもまだ自社の主軸商品は婚礼家具のままである。自社の婚礼家具プロモーションも行われる。ところがアクタスはその場で、婚礼家具を否定するパフォーマンスをやる。白い布を使い、もう婚礼家具の時代でないこと、次の家具の提案に向かうことを来場者にPRする。これが大ウケする。

何なのだろう、これは。
電波信号、情熱の電波信号がただただエネルギーとなって拡散していく。
ビジネスでは英語勉強を…とか関係ない次元でやってる。貿易ノウハウも関係ない。
感じること、それを素早く行動に移すこと。運動を引き起こすこと。

時代の条件というのは確かにあるのだろうけど、物事は、それより根の深い場所ではもっとシンプルかつ普遍的にできている。1960年代にアクタスで起きたことは、21世紀にモダンブルーでも起こりえる。

ビジネスのトランス状態。そうした状態にまで高めていく力学的因子、その発生力学の根幹を見極めれば21世紀でもすべてが自由状態、全方向可能性の塊に見えてくる。もっと原形状態で人とモノと出会い運動を起こすこと。



ちなみにこの投稿はtwitter用にしたものですが、なぜかすべて投稿時間が「44年前」になってしまっています(写真)。twitterのバグなのか偶然のいたずらなのか、どちらにしろおかしな現象ですが、デキすぎています。44年前、つまり1969年といえば、アクタス創業の年だからです。





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